公立学校の教員として働いていた親の影響もあり、幼いころから漠然と公務員に興味がありました。最初は教員を目指していたのですが、学生時代に塾講師のアルバイトを経験し、「自分には別の職種の方が向いているかもしれない」と感じたことから、同じ公務員の中では教員に次いで身近な存在だった役場職員を目指そうと考えるようになったんです。

檜原村役場を受けようと思った理由は、豊かな自然に魅力を感じたからです。僕は檜原村の隣のあきる野市出身で、幼いころから山や川に触れながら育ちました。そのため自然が好きですし、自然豊かな環境に居心地の良さを感じます。地元あきる野の自然ももちろん好きなのですが、一段と豊かな自然環境に惹かれ、檜原村で働いてみたいと思いました。

「公務員試験や役場の雰囲気を掴むためにも、試しに在学中にも一度採用試験を受けてみよう」と考え、檜原村役場に応募したところ、思いがけず採用の通知をもらったんです。卒業が決まる前に就職先が決まったのは想定外でしたが、これも何かの縁だと思い、檜原村役場で働こうと決めました。現在は役場の正職員として働きながら、卒業を目指して大学の課題に取り組んでいます。

村民課の村民保険係に所属し、戸籍や住民票を発行する窓口対応や、人権の啓発活動を担当しています。人権の啓発活動は、村民を対象にした人権行政相談を開催したり、小学生と一緒に花を育て、思いやりの心を育む「人権の花」運動を実施したりするのが主な仕事内容です。また、年に数回、武蔵五日市駅前で人権啓発に関する配布物を配ったりもしています。村内で完結しない業務も多く、西多摩地域の他の自治体と協力して業務にあたることもありますね。

その他、同じ課のなかで扱っている年金や事故の共済などについても、書類作成など、メインの担当職員のサポート業務を行っています。

入庁後初めて配属された総務課では、東京都から送られてきた調査に対する回答や、職員の給与や休暇の管理が主な業務内容だったので、過去の資料や例規集を調べ、できる限り自分で学びながら業務を進めていました。それでもわからない部分は先輩に確認しながら、徐々に慣れていきましたね。先輩は定期的に「仕事の調子どう？」と声をかけてくれるなど、質問しやすい環境を作ってくれていて、ありがたかったです。

村民課では、異動して2か月ほどは先輩がつきっきりでサポートしてくれました。住民の方々への対応がメインになる村民課では、 いちいち調べものをして村民の方を待たせるわけにはいかないため、先輩が横についてサポートしてくれる形が取られているのかなと思います。

僕はもともと「役所＝硬い」というイメージを持っていたのですが、檜原村役場は想像よりも砕けた雰囲気で、いい意味で驚きました。窓口に来た観光客の方に「ここの役場はすごく元気があっていいね」と声をかけていただいたこともあります。仕事の合間にちょっとした雑談が飛び交うこともあり、活気があって働きやすい職場環境だと感じますね。

村民課の業務は住民の方々と直接関わるものが多いので、お礼の言葉をいただいたり、問題を無事に解決してスッキリした状態で帰っていただけた時には、自分の仕事の成果が目に見え、やりがいを感じます。

総務課にいた頃は、時間のかかる調査をやり遂げた際の達成感が、やりがいにつながっていました。また、給与や休暇の管理に関わることで組織の仕組みを知ることができる点にも、面白さを感じていましたね。

せっかく住民の方々と直接関われる課にいるので、皆さんに顔を覚えてもらいたいですし、皆さんの意見やニーズを収集し、将来的にはその解決につながるような施策を提案できる職員になれたらと思います。

今はまだ業務に慣れるのに必死で、既存の業務だけで1日が終わってしまいますが、ゆくゆくは既存業務に加えて、新たな取り組みにも挑戦できるようにしたいです。

（取材・文／檜原村地域おこし協力隊 高野）